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最近観た映画のレビュー「ル・コルビュジエの家」

 

最近観た映画のレビューシリーズ

原題は「隣の男」という意味。ル・コルビュジエは近代建築の巨匠で日本では最近世界遺産登録へと動き出した国立西洋美術館の設計を担当したことでも有名。そんな巨匠の建てた家、の隣家の壁に隣人が穴を空けたことから騒動は始まる。

なんちゃらビエンナーレでも賞を取り、大学でも授業を持ち、住む家はル・コルビュジエの設計。ステータスは抜群、という主人公は隣家に面して窓を作るのは違法だと隣人に大抗議。そう裕福ではなさそうな隣人の男は部屋の中に光を取り入れたかったのだと弁明してなかなか譲らない。

なかなか閉じられない壁の穴に、奥さんはそこまで怒り狂わなくても、というくらい猛反発。南米の人って男の人も女の人も、ものすごい感情的だなぁ。冷静に観てたら、途中でやむなく提示された(というかはじめからそういう案はあったくせにあえて隣人の男には提示しなかった)解決策で万事OKでないか、と思うのに、何が彼らをそこまで怒り狂わせているのか。

途中織り交ぜられる数多くの細かいシーンからステータスは高くとも、彼らの持つ傲慢さ、驕り、家庭内の問題が次第に浮き彫りになる。一方で取るに足らないと見えた隣人の男の意外な一面も次第に見えてくる。尺は短めだけど、よく練られていて面白い。

個人的に笑ってしまったのが、コンテンポラリー音楽を主人公が知人と二人で聴いている時に、「この低音がいいな」的な感じで知人が話していたらじつはそれが、、、だったシーン。アートってもしかしたら名前を付けること、なのかもしれない。

終盤になって物語冒頭に何気なく貼られていた伏線から事態は急展開を迎え、衝撃のラスト。静かなシーンなだけに、恐ろしさが倍増。スプラッターとか、グロテスクだとかではなく、わずかな動きだけのそのシーンに思わず息を飲んだ。しかもエンドロール直前の最終シーンが暗示する事実!

感動のヒューマンドラマ!でもなく、手に汗握るサスペンス!というわけでもなく、主人公の持つステータス以外は結構ありがちに見える隣人とのトラブルなんだけれど、感情的な話が大きなウェイトを占める中で一番恐ろしい部分が淡々と描かれて、その落差にぞくぞくする。

背景から近代建築とかモダンな匂いがぷんぷんするのでつい「現代社会の人間関係の希薄さが原因。普段から隣人同士、交流して仲良くなっとけばよい」とか考えたくなるけれど、そういう話でもない。実はこれって結構いつの時代にも存在しうる狂気ではないだろうか。

と、ネタバレしないように書こうとすると何がなんだかわからない感じですね。ところで映画では実際にコルビジュエデザインの家をロケで使っており、その他登場するインテリアもモダンでセンスがよい。私はそこまで家具とか詳しくないけれど、建築とかインテリア好きな人が観たらそういう細かい小道具とかも楽しめるんじゃないでしょか。

あ、あとオープニング・エンドロールが結構凝ってて好き。

基本情報

  • 原題:EL HOMBRE DE AL LADO (英題:THE MAN NEXT DOOR)
  • 公開:2009年
  • 時間:103分
  • 製作国:アルゼンチン
  • 監督:ガストン・ドゥプラット マリアノ・コーン
  • 脚本:アンドレス・ドゥプラット
  • 出演:ラファエル・スプレゲルブルド 
  • 音楽:セルヒオ・パンガロ

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